こころと会話

自分との向き合いかた

今、抱えている気持ちをどうとらえ
たらよいのでしょう。
ひとりで抱えない
ための気づきとヒントをご紹介

最悪のことばかり考えてしまう

その気持ちは自然なもの。どうか想いにフタをしないで。

回答:キャンサー・ソリューションズ株式会社 スタッフのみなさん

回答:キャンサー・ソリューションズ株式会社 スタッフのみなさん

あなたがそんなふうに感じてしまうのは、自然なことだと思います。私自身、転移乳がんと診断されたあと、シャッターが下りてしまうような感覚に襲われました。どうかその気持ちにフタをせず、「私はショックを受けている」という今の気持ちを認めてあげてください。フタをすると、感情が余計に湧き上がってしまうかもしれませんから。

ひとりで抱え込まずに、ご家族や同じ病を持つ仲間と気持ちを分かち合うのも方法のひとつです。自分の気持ちを紙に書き出す人もいます。言葉にすることで気持ちの整理がつき、少しずつ心が癒されていくこともあります。

もうひとつ、担当医からきちんと説明を受けて、自分の病状を把握することも重要だと思います。患者さんによって千差万別なため一概には言えませんが、転移乳がんは再発後の道のりが長いことが多いもの。ゆっくりと時間をかけて、この状況に慣れていくのもよいかもしれません。

「なんで私が?」「あんなにつらい治療をがんばってきたのに、どうして?」
いろんな感情に押しつぶされそう

あなたが感じている想いは、ごく自然なもの。

回答:キャンサー・ソリューションズ株式会社 スタッフのみなさん

回答:キャンサー・ソリューションズ株式会社 スタッフのみなさん

本当にその通りで、「どうして自分が?」という想いや治療に対する後悔、家族への申し訳なさ、怒りなど、いろいろな感情が出てくるかもしれません。いずれもごく自然な感情で、「仕方がない」ことでもあります。

私自身、この病を「仕方がない」と受け入れられてから、ほんの少し気持ちがラクになったように思います。過去を振り返ったところでどうしようもない。でもこれからは、自分で自分の人生をつくっていける。「自分は常に選ぶことができるんだ」と気づけたことも大きかったかもしれません。それからは気持ちが向かない仕事は減らすなど、「したいこと」と「したくないこと」を仕分けるなかで、少しずつ心地よい暮らしを選び取れるようになってきたと思います。

実際に経験をして感じるのは、転移乳がんの道のりは本当に人それぞれだということ。ひとりとして同じ道はないと思います。だからこそ自分の想いや体調の変化に合わせて、そのときどきの「ちょうどよい加減」を見つけていきたいですね。

私たちは、あなたが前に進めるようにお手伝いしたいと思っています。

回答:清水 千佳子先生

そうですよね、つらいですよね。あなたがそう感じるのは、とても自然なことだと思います。私たちは、あなたのつらさを受け止めて、前に進めるようになるのをお手伝いしたいと願っています。
不安な気持ちは、どうぞ医療スタッフに相談してください。一緒に「道」を考えることができればと思います。

どうやって病や人生と向き合えばいいの?

目の前の「今」を、丁寧に生きていく。

回答:キャンサー・ソリューションズ株式会社
スタッフのみなさん

私は、あらためて病や人生と「向き合う」必要はないと思うんです。向き合って答えが出るかどうかはわかりませんし、患者にとって「希望」や「未来」という言葉は、周りの人が思うよりずっと遠くに感じられるかもしれません。だからこそ、目の前のもの、ほんの少し先にあるものを見て生活してみてはどうでしょうか。

自分にできること・したいことを書き出すほか、「来月はあの展覧会に行く」など短期的な目標を持つのも方法のひとつです。「やりたいことリスト」や「会いたい人リスト」をつくって、実行に移している人もいます。

今、あなたが不安を感じていたら、「私にはこんな不安があるんだ」と受け止めたうえで、その気持ちを脇に置いておく。そうして「今」を丁寧に生きていくのもひとつです。

今までの人生を大事にしながら、これからの人生を考える機会にしてほしい。

回答:清水 千佳子先生

まずお伝えしたいのは、乳がんが転移したからといってなにかを諦めたり、気持ちまで「病人」になったりする必要はないということです。これから、通院や投薬の関係で生活を見直す局面が出てきたり、体調に波が出てきたりするかもしれません。

でも、なにより大切なのは「病気に飲み込まれないようにする」ことです。どうかあなた自身の人生を第一に考えてください。

転移乳がんの症状や進行のスピード、薬の治療効果は患者さんによって千差万別で、担当医であっても先の見通しを立てづらいもの。また今後、新薬が開発されて、治療状況が変わることも考えられます。「先のことはわからない」と受け入れたうえで、あなたにとっての「諦めたくないこと」を実現する方法を、周りのサポーターと一緒に考えていきましょう。

これからの治療はどうなるの?
なにを基準に治療方針を決めればいいの?

自分が大切にしたいことを洗い出しましょう。

回答:キャンサー・ソリューションズ株式会社
スタッフのみなさん

治療方針を選択するときは、まず自分が重視することを考えてみてはいかがでしょうか。通院の回数や副作用、治療実績、お金など、ひとりひとり判断基準もさまざまです。「自分が大切にしたいこと」と同時に、「絶対にイヤなこと」を考えるのもいいかもしれません。そうして、もっとも自分に合う生活を選べたらいいですね。

なかには、これから起こる症状に病院が対応できるかどうか、不安を感じる人もいるかもしれません。私は、以前お世話になった病院が自宅から遠かったため、のちのちのことを想定して転院した経験があります。こうした不安を感じている方は、今後に備えて情報収集を始めてみるといいかもしれません。

ほかにどんな選択肢があるのか、担当医に尋ねてみて。

回答:清水 千佳子先生

担当医は、あなたの体にある腫瘍の量や性質、あなたの体力や臓器の機能に基づいて、もっともよいと思われる治療方針を提案します。ひとつしか提案がなかった場合は、提案された方法以外にオプションがあるかを尋ねてみてください。そして、それぞれの選択肢のメリットとデメリットに加え、なぜ医師がこの方針をよいと考えるのか、理由を聞いてみるのもよいでしょう。

抗がん剤には副作用がつきものなので、百点満点の選択肢はないかもしれませんが、治療に対する要望がある場合にはそれを担当医に伝えましょう。

もし担当医の方針が腑に落ちない場合は、セカンドオピニオンを受けるのもひとつ。受けたいときは、遠慮せずあなたの意思を伝えてみてください。

出典:

体の痛みがあってつらいとき、どうすれば少しでもラクに過ごせるの?

痛みは取るのが一番。我慢せず担当医に相談して。

回答:キャンサー・ソリューションズ株式会社
スタッフのみなさん

体に痛みがあると気持ちも落ち込んだり、日々の生活にも影響が出ることがあります。我慢せずに担当医に話してはいかがでしょうか。もしかするとその痛みは、症状の経過に関する重要なサインかもしれません。遠慮なく伝えてみましょう。

また、あなたがかかっている病院に緩和ケア科があるのなら、早いうちにかかっておくと安心できるかもしれません。私の場合、かなり早いタイミングで乳腺・腫瘍内科と緩和ケア科、二人の先生が担当してくれるようになりました。サポーターが増えたことで、気持ちがとても安定しましたよ。

お薬の副作用が心配でも、まずは服用してみてください。

回答:清水 千佳子先生

体の痛みにせよ心の痛みにせよ、そのつらさを周りの人にちゃんと相談できていますか? 相談する先は担当医だけでなく、看護師、薬剤師、受付のスタッフ、病院のがん相談支援センター(がん相談支援室)の相談員といった他の医療スタッフでも構いません。「病状を知らない相手にプライベートなことを話して迷惑になるのでは」と考える方もいるかもしれませんが、思いきって話してみることで、最適なサポーターにつないでもらえるかもしれません。

体のつらさに対してお薬を処方しても、副作用が怖いからと飲まずにやせ我慢する方がいらっしゃいます。副作用は心配かもしれませんが、勇気を出して服用してみてほしいですね。お薬が合わなければ別の方法を考えます。試行錯誤しながら、あなたがラクになる方法を一緒に探していきましょう。

出典:

治療に関する情報があふれすぎて、なにを選んだらよいのかわからない

ネットで収集した情報は、担当医に必ず相談してみましょう。

回答:キャンサー・ソリューションズ株式会社 スタッフのみなさん

回答:キャンサー・ソリューションズ株式会社 スタッフのみなさん

インターネットは情報収集には便利ですが、情報量が多すぎて、どれが正しいか見分けるのが難しいですよね。すべてが自分にあてはまる情報だと思わずに割り切って閲覧する、疲れているときはあえて見ないようにするなど、距離を持ってつき合うことも大切です。

もし気になる医療情報を見つけたら、「この情報についてどう思いますか?」「これは私にどんなメリットがありますか?」と、担当医に聞くのが一番です。家族や周りの人がすすめてくる情報も同様です。治療に関する情報は、命に関わるため自己判断しないことが大切。全国のがん診療連携拠点病院などに設置されている「がん相談支援センター(がん相談支援室)」といった相談窓口に尋ねるのも助けになります。

情報収集は、担当医の専門分野。医師から情報を引き出して。

回答:清水 千佳子先生

情報を集めたくなる気持ちはわかりますが、がんに関する情報のなかには、正しいと言えないものも出回っているのが現状です。患者さんは必ずしも治療の情報に精通する必要はないと思っています。なぜならそれは、私たち医師の担当分野だからです。患者さんは、「自分自身の人生のプロ」であることを最優先にしてほしいなと思います。

転移乳がんは、患者さんによって病状がバラバラであるため、ひとまとめにして説明するのは困難です。ブログなどに書かれた患者さんの体験が、自分に当てはまることはありません。

だからこそ、あなたの体をもっともよく知る担当医の提案に耳を傾けることが大切です。担当医は、患者さんの体と病気の情報を総合して、最適な治療方針を見定めています。もし医師の話が難しくて理解できないときや、治療の方針に納得できないときは、わかった振りをせず、どんどん質問してくださいね。

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家庭、子育て、仕事、介護、治療…。いったいどう折り合いをつければいいの?

変わることを前提に、心地いいバランスを見つけましょう。

回答:キャンサー・ソリューションズ株式会社
スタッフのみなさん

転移乳がんと診断されて、この先の生活に不安を感じるのは自然なこと。これからの暮らしを守るために意識してほしいのが、「自分はなにを大切にしたいのか」という視点です。家族との時間を増やしたい、経済状況を考えると仕事は続ける必要があるなど、あなたにとっての現時点での優先順位を明らかにするといいかもしれません。

これからも、治療や生活を取り巻く状況は変化し続けるはずです。変わることを前提としながら、「今、大切にしたいのはどれかな?」と、そのときどきの優先順位と好ましいバランスを決めていけるとよいでしょう。「一度決めたことであっても、状況に応じて変えてもいいんだ」と、考えてみることも大切です。

そして、仕事を続けたい方へ。症状にもよりますが、診断の直後に「治療に専念しなくては」と仕事を辞める決断をすることは避けましょう。仕事が世の中との接点をつくり、生きる意味をもたらしてくれることもあります。仕事の継続にあたって通院時間や回数、副作用がネックになる場合は、担当医や病院のがん相談支援センター(がん相談支援室)、患者会などに相談するのも助けになるかもしれません。

役割分担を見直してみましょう。

回答:清水 千佳子先生

さまざまな役割にどう折り合いをつけるか。悩む方も多いと思いますが、ほかの人でも可能なことはやってもらうように働きかけるのもひとつです。全部自分で背負い込まず、人に上手に頼れたら気持ちが軽くなるかもしれません。「指示を出すのは私だけど、手を動かすのは家族」「上司に相談して、タスクシェアをしました」など、役割分担しながら切り盛りしている患者さんもたくさんいらっしゃいます。

看護師やがん相談支援センター(がん相談支援室)のソーシャルワーカーなど、経験豊富なスタッフによい知恵があるかもしれないので、相談してみるのも一案です。

出典: